トリビュートDJの密かな楽しみ 「2007年3月25日・遠藤ミチロウLive@延岡TAM」

去る3月25日、遠藤ミチロウLive@延岡TAMにて、連動企画として『DJによる遠藤ミチロウトリビュート!Vol.2』 で参加させてもらった。

通常ミチロウライブの際には、前座はバンドと相場が決まってるのだろうが、ここTAMでは私がスターリン時代からのファン&レコードコレクターというので名乗りを上げ、おそらく全国でも唯一、昨年に続いて前座でDJをやらせてもらうことになった。

普通クラブでDJをやる際には、『不特定多数の客を踊らせること』 が目的だが、今回の目的は『ミチロウさん及び、客に紛れたマニアックな友人達にウケルこと!』であった。そう、パーティとは異なり、いかに特定の人々からリアクションを引き出すか、に重点を置いていた。

思えばずっと前、延岡初のDJバーだったCAMPというお店で、土曜日の夜にカウンターでDJをやらせてもらっていた頃があった。元々お客さん達は酒を飲むのが目的で来ていたのだが、曲をプレイすることによって、この人達から反応があったりすると楽しかった。。。「いいねー、これ何の曲?」とか。
クラブパーティと違い、トラックでノリを作るというよりむしろ、選曲そのもののセンスが試されていた。今回のDJも、それに似た趣があるように思う。

前回は、スターリンの曲と洋楽のパンクを交互にプレイしてみた。今回選曲するにあたって、MJQの最新アルバムをチェックしてみたら、スターリン時代の曲も再演しているようだったので、スターリンの曲はなるべくかけないことにした。
だがお客さんからのリクエスト用に、スターリンとミチロウのレコードは全部持っていくことに。ロックはハウスと違って曲の長さが短いので、どうしても枚数が増えてしまう、、、結局レコードケース2箱分にもなってしまった、、、重い(泣)

そして当日、開場前にセットリストを書き込んでいるミチロウさんに、緊張しつつ近づき。。。
私「あのー、今日はスターリンの曲はかけないようにしようと思うんですけど」
ミチロウ「今日、スターリンの曲はやんないよー」
。。。ええーっ、そんなぁ^^;

音出しを兼ねてレコードをかけてみる。P.I.Lの This is not a love songが流れたら、ミチロウさんがタムさんに「この店って普段はどういう曲かけてるの?」て訊ねていた。GNPではこの曲のカバーをしてたし、前回はミチロウさんから直々にP.I.L. のPublic imageをリクエストされた。おっ!さっそくリアクションあり!

開場時間の7時になってお客さん達が入ってくる。1番乗りのTさんからお土産のCDを受け取る。。。奇形児に柴山俊之ライブとソロ。。。やっぱり濃いなー^^; 
あぶらだことサンハウスが見つからなかったので、代わりにウィラードとインディーズのコンピで勘弁してもらおう。ウィラードのTHE ENDと、SEX PISTOLSのNO FUN、鮎川誠のソロから「ほら吹きイナズマ」というJumpinJackFlashのパクリみたいな曲をプレイ。

店内を見渡してみると、小学生の女の子を連れたファミリーや、鋲打ち皮ジャンのパンクスなど様々。。。どの辺りにターゲットを絞ればいいのか分からなくなってしまう。。。
 
Hさんがいらっしゃったので、おそらく好きかと思われるZIGGY STARDUSTの BAUHAUSバージョンをかける。
個人的にはDAVID BOWIEのオリジナルよりも、こっちの方がかっこいい!と思っている。
 
Sさんは予告通り、オデッセイ・1985・SEXの7インチ、杉山シンタロー、友川かずき、INUといったコアなレコードを持ってきてくれた。後で選曲を手伝ってくれるように頼んだ。
 
Kさんは、SOFT PARADE/THE DOORSを持参。ドアーズといえば、たいていファーストかLAウーマンなのに、これを押さえているとはやるなー!この中から、ミチロウさんの別ユニット名にちなんで、TOUCH MEをプレイ。

FRICTIONの REPLICANT WALKを聴きながら、このバンドって今聴いてもリズム感かっこいいよなーとか思ってると、タムさんからライブを始めるとの合図があった。ミチロウさん登場時のBGMは、打ち合わせ通りドアーズのジ・エンド(=遠藤らしい・笑)。

前回はジ・エンドにヘリコプターの飛ぶ音のSEを重ねてみたが、今回は第二次世界大戦の開戦時のラジオのアナウンスの声が入ったソノシートをミックスしてみた~緊張感漂う演出になったのでは?と自負している。

ライブは、なんといきなり名曲「JUST LIKE A BOY」でスタート! これは例えば森進一だったら「おふくろさん」、ストーンズでいえばサティスファクション、ハウスでいえばSWEETEST DAY OF MAY、テクノでいえばSTRINGS OF LIFEで始まるようなものだ!
この曲を1曲目にもってくるあたりに、今のミチロウさんの充実ぶりがうかがえる。凄いライブになりそうだー!!
 Dさん達、間に合わなくて残念だなー

迫力の第1部終了。2部が始まるまでの間は、女性ボーカル物メインでいこう。同じカノンネタの戸川純:蛹化の女や、ミチロウさんもカバーしていたPATTI SMITH:Ask The Angels。Sさん所有のオデッセイ・1985・SEXの女性ボーカルバージョンはすごいレアだ^^;
LOU REED:ワイルドサイドを歩けが、もう少しで終わろうとしている時に、ちょうどいいタイミングで第2部がスタート。

ライブ終了後は、風の音のSEにインストものをミックスして、余韻を残す雰囲気にするつもりだった。だがアンコールで「21世紀のニューじじい」を演ったので、この曲の最後にギターリフを引用してる点から、20th century boy:T.REXをタンテに乗せる。

しかし更にアンコールのアンコールのラスト曲に、仰げば尊しが登場! すばやくレコードをミチロウバージョンの仰げば尊しに差し変えた。するとこれが大当たり! 出口に戻ってきたミチロウさんは上機嫌! 「懐かしいなー、この曲聞かせてよ!」と言いながら、帰ってゆくお客さん一人一人と握手をしていたのだった。ミチロウさんはあまりに多作なので、おそらく昔演った曲を全て聴く機会は無いのでは?と思われる。

その後も悪魔を憐れむ歌のリミックスをかけながら
私「スターリンにも、アクマデ憐レム歌ってありましたよね~?フレーズをちょっと引用した風な」
ミチロウ「あれはカバーじゃないんだよ、パクリのギリギリってとこw」

Jose FelicianoのLIGHT MY FIREのラテン系カバーをかけたら
ミチロウ「これ誰が歌ってるのー?」
と訊ねられたりとか

・・・等など、あの遠藤ミチロウさんと、レコードを通じて密かに楽しい会話をすることが出来て、またまた嬉しい体験だった。人から見れば「あんな一人でレコードかけて何が面白いんだろ?」と思われがちなDJだが、実はこーんな楽しい一面もあるのだ♪